海の亡霊 (うみのぼうれい)
ある夜、三人の漁師が船で経ヶ岬に向かっていた。
するとブリッジに亡霊が現れて、船に張り付いて機械を止めてしまった。
どんどん海は荒れてくるが船はぴくりとも動かない。
「このままではいつ転覆するかわからないから泳いで帰ろう」と言って、三人は海へ飛び込んだ。
三人はお互いに声を掛け合いながら、嵐の海を泳いで行った。
漁師二人は何とか経ヶ岬の灯台の所まで泳ぎ着いたが、三人目がどこにも見当たらない。声も聞こえない。
残った二人は急いで村へ戻り、村人たちに遭難した仲間を捜してほしいと頼んだ。
だが、皆で海に駆けつけた頃には既に船の姿は見えず、結局死体も上がらなかったという。
『京都府伊根町の民話 -泉とく子・藤原国蔵の語り-』「海の亡霊」より
グレムリン(機械を不調にさせる西洋の妖精)みたいなことをする亡霊ですね。
行方不明になった三人目は、この亡霊に連れて行かれたのでしょうか。