長い顔の女 (ながいかおのおんな)


万寿三年(1026)四月頃、身長七尺(約180cm)以上、顔の長さ二尺(約60cm)の女が丹後国のとある港町から船に乗った。
船内で酒宴があり、この時彼女の周囲にいた者は皆病気になった。
そのため船を着岸させずにいると、その内に死んでしまったという。

『古事談 巻第一』より


平安時代の丹後国(詳しい場所は不明)に現れた謎の顔長女です。
この女性、首から足までの長さが210cmで、顔の長さが60cm(全長でいうと2m40cm)だったのか、顔の長さも合わせての身長(全長180cmのうち、顔の長さが60cm。つまり首から下は120cm程度)だったのかでずいぶんと印象が変わりますね。
多分前者だと思いますが。

この他にも、江戸時代の加賀国(石川県金沢市)に顔の長い大女が現れたという話が伝えられています。
こちらは顔の長さ三丈(約9m!)もある女だったそうです。長さでは圧勝ですね。(『三州奇談』)

*追記と訂正

『大日本史 巻之三百六十三』にも、この顔長女の記述がありました。
「万寿三年四月、丹後に女子がいた。身長七尺以上、顔の長さ二尺以上、船に乗って来る。彼女を視た者は病んだ。人々は怖がって近づかず、女子も死んでしまった」とあります。
『古事談』と違うところは、人々が女性を見ただけで病を患ったという点ですね。何者だったんでしょ。


あと「七尺=約180cm」とか書いてましたが、正しくは「七尺=約210cm」でした……。