ちんじゅの一つ目小僧 (ちんじゅのひとつめこぞう)


三浜から野原を過ぎて成生に行く岬の手前に「ちんじゅの浜」と呼ばれる、陸からは行けない綺麗な砂浜がある。

ある時、漁師の親子が「ちんじゅの浜」で休憩していると、ちゃんちゃんこを羽織った子供が近づいてきた。
丸い大きな頭、口は耳元まで裂け、顔の真ん中に大きな目が一つという異様な姿の子供だった。
子供は「もう長い間何も食べていない。ひもじいので何か食べるものをくれないか」と言う。
父親は、これは人を騙して喰うという“ちんじゅの一つ目小僧”だと気づき、引き離そうと握り飯を遠くに放り投げた。
一つ目小僧は投げられた握り飯を平らげると「もっとくれ」と親子の元へ帰ってくる。それを何度か繰り返す内に握り飯もなくなってしまった。
「美味かった。もっとあるだろう。生きている者だったら、もっと美味しいだろう」
そう言って一つ目小僧は近づいてくる。そこで父親は息子に「舟の生け簀から魚を持って来い」と言った。
息子が「どの生け簀だ」と聞いてきたので、父親は「一緒に探してやろう」と言って舟に飛び乗り、急いで漕ぎ出した。
一つ目小僧は大きな口を開け、舌をベロベロ出しながら舟を追いかけたが間に合わなかった。
「騙された、エサに逃げられた。今日は生きた人間の肉が食べられると思ったのに」
そう言って、一つ目小僧は泣いていたという。

『わが郷土 丸山小学校創立百周年記念誌』「ちんじの一ツ目小僧」
『舞鶴の民話 第四集』「一つ目小僧」より


一つ目小僧が現れた浜ですが、文献によって「ちんし」「ちんじ」「ちんじゅ」と微妙に名前が違っていてややこしかったので、当ブログは「ちんじゅの浜」で統一することにしました。