ホモラ


大正時代の話である。
ある兄弟が海で夜釣りをしていると、沖から綺麗な布で装飾した船が帆を張って真っ直ぐ二人の元へ近づいて来た。
「危ない。このままではぶつかってしまう」と弟が慌て始めた。
兄はこれが“ホモラ”(亡霊)だと知っていたが、口に出すと弟を怖がらせてしまうので、
「俺には見えないが、お前には見えるのか」と見えないフリをした。
だが弟がしきりに「また来た、また来た」と言い続けるので、二人は早々に引き上げたという。

『語りによる日本の民話 10 丹後 伊根の民話』「海の亡霊(二)」より


伝承地:伊根町新井