飛び込む河童 (とびこむかっぱ)


舞鶴に鉄道が出来た頃、線路の工員には巡回という仕事があった。
それは夜間に舞鶴方面と梅迫(綾部)方面の二手に分かれ、事故や破損がないかを確認しながら線路上を歩いて途中で合流する、というものだった。

ある夜、青年工員が巡回の当番になり、一人で線路上を歩いていた。
山崎の鉄橋にさしかかった時、「バシャ」という大きな水音がした。誰かが川に落ちたらしい。
「こんな時間に誰が?」と目をこらすと、鉄橋の先に黒い塊が五つほど見える。
青年が近づくと、黒い塊はバシャバシャという音と共に川の中へ飛び込んでいった。
夜中にこんな山の中で泳ぐ者などいない。きっとあれは河童だったのだろう、と話していたという。

『中筋のむかしと今 下』「河童の話」より


*正確な場所は不明。山崎神社裏手の鉄橋辺り?