針売ろか、櫛売ろか (はりうろか、くしうろか)*
昔、美山長尾の尾本というところに深い淵があった。
その淵の底からは「針売ろか、櫛売ろか」という悲しそうな男の声が聞こえてくるという。
これは昔、この場所に井根(水量を調節するために水を堰き止める所)を造った時、完成を祈願して水神に人柱を捧げることになった。
そこで村人たちは偶然通りかかった小間物屋を捕まえ、無理矢理人柱にして水底に沈めた。
それ以来、小間物屋の恨みの声が淵の底から聞こえてくるようになったという。
『近畿民俗』110号「丹波美山口碑集」より
たまたま通りかかっただけで人柱にされた可哀想な小間物屋さんの話です。
『四国路の伝説』にも、丸亀城の石垣を築くため、通りかかった豆腐屋を無理矢理人柱にして埋める→それ以来、城近くで「豆腐豆腐」と豆腐を売る切ない声が聞こえるようになる、という話があります。
ひょっとしてこういう「通行人を無理矢理人柱にしたら声が聞こえるようになった」系の伝承って各地にあるんでしょうか。
ひょっとしてこういう「通行人を無理矢理人柱にしたら声が聞こえるようになった」系の伝承って各地にあるんでしょうか。
ちなみにこの井根は洪水にやられて今は残っていないそうです。