雪んぼ (ゆきんぼ)
大宮町の細見家に伝わる話である。
当時、細見家は古木に囲まれ昼でも暗い山の中に居を構えていた。
ある大雪の夜、細見家の老婆と孫が留守番をしていた。
すると家の戸を叩き「こんばんは」と呼びかける女の声がした。
戸を開けると、蓑を着た美しい女が雪に塗れて凍えていた。
急いで家に招き入れ囲炉裏に寄せてやると、女はたちまち白い肌を露わにし、胸をはだけて火に当たり始めた。
女の大きな乳房は囲炉裏の火に炙られ、今にもだらりととろけそうになっている。
それを見た老婆は女が“雪んぼ”だと気づいた。
雪んぼは雪の夜に現れる化け物で、体は松脂と雪で出来ているので、乳房を火に当てるとすぐにとろける。
そのとろけて熱された乳房をちぎって人に投げ、焼き殺してから喰うと伝えられていた。
老婆は孫を背負い、女に「村で食料を貰ってくる」と言って外へ転がり出た。
二人は庄屋の家に駆け込み、雪んぼが出たことを説明し、そこで一夜を明かした。
翌朝、家に戻ってみると女の姿はなかったという。
その後、細見家は山中の家を捨て、明田の村外れに移り住んだという。
『丹後の民話 第四集 ふるさとのむかしばなし』「雪んぼのはなし」より
火で炙った乳房をちぎり取り、それを投げつけてくる特殊な妖怪です。インパクト強すぎ。
丹後地方では割と有名な妖怪なのか、様々な文献にその名前が見られます。
“雪んぼ”という名前がつけられたのは『丹後の民話 第四集』(1973年発行)のようで、初出と思われる『丹後の民話 第一集』(1971年発行)ではシンプルに“やまんば”表記になっています。
登場人物も老婆と孫ではなく、爺さんと婆さんの老夫婦になっていたりと細かい違いが見られます。
雪んぼに似た妖怪。
→山姥(福知山市)
伝承地:京丹後市大宮町明田
→山姥(福知山市)
伝承地:京丹後市大宮町明田