大雲橋のカゲロウ (おおくもばしのかげろう)


昔、北有路の阿良須城と南有路の引地城が、由良川の水利権を巡って合戦をした。
その戦は僅か一日で決着がつき、阿良須側の勝利に終わった。
それ以来、毎年城が落ちた日の夜になると、合戦で死んだ人々がカゲロウ(白い蛾とも)になって姿を現し、北有路と南有路に架かる大雲橋付近で戦を始めるという。
その数は夥しく、提灯の火が消えるほどの大群が集まってくるという。
翌日になると、大雲橋の上は一夜にして死んだカゲロウの死骸で埋め尽くされる。
不思議なことに、死骸の数は橋の南側、引地城に近い方が多いと言われている。

『大江町風土記 第2部』「死んだ人が蛾になって出るはなし」
『大江町誌 通史編上巻』「第2章 大江町の山城 (十三) 南有路城と引地城」
『京都 丹波丹後の伝説』「大雲橋の蛾」より


カゲロウの成虫はわずか一日で死んでしまうので、それと戦の死者をリンクさせて生まれた話なのかもしれません。
山形県には「合戦の死者が蛍に転生してまた戦いを始める」という、似たような話が伝わっています(『東北怪談全集』)。

どうでもいい補足ですが、カゲロウたちの戦場となる大雲橋は昭和二年に完成した橋で、合戦当時にはありませんでした。
あと、引地城とは南有路城の出丸に当たる城(砦?)で、城主は矢野五郎右衛門(『田辺旧記』)という人物だったそうです。阿良須城の城主は不明。

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現在の大雲橋(福知山市大江町南有路)