岩鼻の羽衣姫 (いわはなのはごろもひめ)


舞鶴の大波下に、野山という小さな山がある。
昔から村人はここで薪を集め、それを背負って家まで帰っていた。
その途中、頭上に大きな岩鼻(突き出た岩の端部分)が聳え、腰かけるのに丁度いい岩があるので、村人はここを休憩所として利用していた。

ある時、老婆がいつものように薪を集めて家に帰ろうとした時、急に胸が苦しくなった。
どうにか岩鼻の所まで辿り着き、岩に体を横たえた。
すると頭上にそびえる岩鼻の上に、どこからともなく美しい姿の羽衣姫が現れて舞を踊り始めた。
老婆は姫の踊りの美しさに心を奪われ、しばらく見入っていた。
不思議なことに、姫の舞を見ている内に、だんだん胸の苦しみが弱くなっていく。
ふと我に返った時には既に羽衣姫の姿はなく、老婆の胸の苦しみも治まっていた。
そして老婆は無事家に帰り着くことが出来たという。

それ以来、その休憩所を「極楽岩」、岩鼻を「舞姫岩」と呼ぶようになったという。

『舞鶴の民話 第一集』「岩ノ鼻(大波下)」より