丹波・丹後の妖怪あつめ

京都府北部(丹波・丹後地域)の怪異妖怪伝承を紹介するブログです。

2019年03月

化け石

化け石 (ばけいし)


畑野村と大阪府との山境に“化け石”と呼ばれる石がある。
昔、ある騎馬隊がここを通りかかると、突然大猫が飛びついてきたが、先頭の大将が刀で真っ二つに斬りつけて通り過ぎた。
その後、ある村人が同じ場所で二つに割れ、切り口に血痕のついた石を発見し、この石が大猫に化けて出たのだと気づいたという。
今でも二つに裂け、血痕のついた石が残っているという。

『口丹波口碑集』「猫に化けた石」より


*伝承地:亀岡市畑野町(化け石の位置は不明)


首吊り坊主

首吊り坊主 (くびつりぼうず)


昔、みすぼらしい格好をした巡礼者が、ある農家に宿を求めた。
農家は一度は断ったものの、「庭の隅でも良いから泊めてほしい」と言うので、ムシロを渡して泊めることにした。
その家には嫁がいたが、体調を崩して長い間寝たきりになっているという。

夜、巡礼者は庭の隅の俵置き場で、俵にもたれかかり眠っていた。
すると、どこからともなく綺麗な坊主が現れ、俵の上に乗って部屋の方へおいでおいでと手招きをした。
それに呼ばれるように、部屋からハチマキを巻いた青い顔の嫁が出て来て、坊主がいる俵に乗った。
坊主は上から縄をかけて輪をこしらえると、嫁を促してそれに首をかけさせようとした。
首を吊らせようとしていることに気づいた巡礼者が、咄嗟に「いかん!」と大声で制止すると、坊主はたちまち姿を消してしまった。
正気に戻った嫁は「死神に誘われて首を吊りそうになったけど、止めてもらって命が助かった」と、巡礼者にお礼を言ったという。

『大江のむかしばなし』「遍路さんと首つり嫁」より


この奥さんを救った巡礼者は弘法大師だったそうです。

ホモラ

ホモラ


大正時代の話である。
ある兄弟が海で夜釣りをしていると、沖から綺麗な布で装飾した船が帆を張って真っ直ぐ二人の元へ近づいて来た。
「危ない。このままではぶつかってしまう」と弟が慌て始めた。
兄はこれが“ホモラ”(亡霊)だと知っていたが、口に出すと弟を怖がらせてしまうので、
「俺には見えないが、お前には見えるのか」と見えないフリをした。
だが弟がしきりに「また来た、また来た」と言い続けるので、二人は早々に引き上げたという。

『語りによる日本の民話 10 丹後 伊根の民話』「海の亡霊(二)」より


伝承地:伊根町新井


ピシャどん

ピシャどん


五十河の西山に百合道という道がある。
この道は粘り気のある赤土で、雨が降っても水は土の中に吸い込まれず、表面を川のように流れるという。
ある雨降りの昼下がり、村人がこの道を歩いていると、後ろから「ピシャピシャピシャピシャ」という音が聞こえて来た。
振り向くと、黒い衣を着た小坊主のようなものが後ろからついて来ている。
村人が足を止めると「ピシャピシャ」という音も止まり、小坊主も見えなくなるが、歩き出すとまた「ピシャピシャ」という音が聞こえて来る。
不思議に思い、何度も振り返って見ている内、赤土に足を滑らせ尻餅をついてしまった。
それ以来、西山には「“ピシャどん”が出る」と言われるようになった。

『丹後の民話 第一集 いかがのはなし』「ピシャどん」より


福井県の“ビシャがつく”(みぞれが降る夜道を歩くと背後からビシャビシャと足音が聞こえて来る)のような後ろからついてくる系の妖怪です。
そのためか『日本妖怪大事典』では一緒くたに紹介されています。


伝承地:京丹後市大宮町五十河



ちんじゅの一つ目小僧

ちんじゅの一つ目小僧 (ちんじゅのひとつめこぞう)


三浜から野原を過ぎて成生に行く岬の手前に「ちんじゅの浜」と呼ばれる、陸からは行けない綺麗な砂浜がある。

ある時、漁師の親子が「ちんじゅの浜」で休憩していると、ちゃんちゃんこを羽織った子供が近づいてきた。
丸い大きな頭、口は耳元まで裂け、顔の真ん中に大きな目が一つという異様な姿の子供だった。
子供は「もう長い間何も食べていない。ひもじいので何か食べるものをくれないか」と言う。
父親は、これは人を騙して喰うという“ちんじゅの一つ目小僧”だと気づき、引き離そうと握り飯を遠くに放り投げた。
一つ目小僧は投げられた握り飯を平らげると「もっとくれ」と親子の元へ帰ってくる。それを何度か繰り返す内に握り飯もなくなってしまった。
「美味かった。もっとあるだろう。生きている者だったら、もっと美味しいだろう」
そう言って一つ目小僧は近づいてくる。そこで父親は息子に「舟の生け簀から魚を持って来い」と言った。
息子が「どの生け簀だ」と聞いてきたので、父親は「一緒に探してやろう」と言って舟に飛び乗り、急いで漕ぎ出した。
一つ目小僧は大きな口を開け、舌をベロベロ出しながら舟を追いかけたが間に合わなかった。
「騙された、エサに逃げられた。今日は生きた人間の肉が食べられると思ったのに」
そう言って、一つ目小僧は泣いていたという。

『わが郷土 丸山小学校創立百周年記念誌』「ちんじの一ツ目小僧」
『舞鶴の民話 第四集』「一つ目小僧」より


一つ目小僧が現れた浜ですが、文献によって「ちんし」「ちんじ」「ちんじゅ」と微妙に名前が違っていてややこしかったので、当ブログは「ちんじゅの浜」で統一することにしました。

上木崎の大入道

上木崎の大入道 (かみきざきのおおにゅうどう)


園部町上木崎にある春日神社と国道9号線の間の小路には大きな狸が棲んでいて、夜になると高さ一丈(約3m)もある大入道に化けて現れていた。
大入道は高下駄をカランコロンカランコロンと鳴らしながら歩き、道行く村人を脅かしていたという。
その時から、この小路を「入道」と呼ぶようになったという。

『ふるさと口丹波風土記』「上木崎の大入道」より


ちなみに「入道」という地名は現在も残っています。



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