八十匁蝋燭 (はちじゅうもんめろうそく)
ある日の夕暮れ、猟師が鉄砲を担いで家に帰っていた。
ふと近くの山の中腹を見ると、大店の大番頭風の男が八十匁(約300g)の蝋燭を灯し、机に向かって大きな算盤をパチパチと弾いていた。
猟師は「こんな所で変だな」と思い、脅しに空へ向けて鉄砲を撃つと、蝋燭の火が消え、男の姿は見えなくなった。
翌日の夕方も、また同じ所で大番頭風の男が八十匁蝋燭を灯して算盤を弾いていたので、今度は男の心臓を狙って鉄砲を撃ってみたが、蝋燭の火が消えただけで手応えはなかった。
そこで近所の老人に相談したところ、「化け物は自分の目を光らせているというから、次は蝋燭を狙って撃て」と教えられた。
翌日の夜、また同じ所に大番頭風の男が現れたので、三十匁(約112g)の弾で蝋燭を撃つと、見事に大狸を仕留めたという。
『丹後の民話 第二集 -ふるさとのむかしばなし-』「八十匁ろうそく」より
『日本昔話大成』で言うところの「山姥の糸車」タイプに分類される話です。
他の地域の類話では→老婆(または娘)が糸車を引いている。そばにある行灯を撃つと死ぬ。正体は小動物(狸、狢、梟、猿など色々)だった。
京丹後市では→大番頭風の男が算盤を弾いている。そばにある蝋燭を撃つと死ぬ。正体は狸。という具合に、姿形や行動、正体の違いはあるものの、全体の流れはだいたい同じになっています。
伝承地:京丹後市大宮町五十河
