丹波・丹後の妖怪あつめ

京都府北部(丹波・丹後地域)の怪異妖怪伝承を紹介するブログです。

2020年04月

白坊主

白坊主 (しろぼうず)


剣豪・岩見重太郎が、父の仇討ちのため宮津へ来た時の話である。
仇討ち成就の願をかけようと、重太郎は府中の元伊勢籠神社へ参詣した。
参拝を終え寺坂(大宮町河辺)まで戻ってくると、茶屋の老婆に「この先の峠は夜になると化け物が出るので行かない方がいい」と忠告された。
だが重太郎は逆に「化け物など退治してやる」と息巻くので、ならば、と老婆はよもぎ餅を渡してくれた。
よもぎ餅を食べて元気になった重太郎は、峠を登り化け物が現れるのを待っていた。
すると、どこからともなく白い大坊主が姿を現した。
重太郎が刀で斬りつけると、白坊主は悲鳴を上げて消えてしまった。
手応えはあったものの、刃が滑ったような感触があった。不思議に思い、その正体を確かめることにした。
夜明けを待って辺りを調べてみると、近くの池に長さ一丈(約3m)以上もある白い鯰が浮かんでいた。白坊主の正体はこの白鯰だったのである。
重太郎が化け物を退治したという話は寺坂に伝わり、それ以来、彼が食べた寺坂のよもぎ餅は評判になったという。

『おおみやの民話』「寺坂のよもぎ餅」より


岩見重太郎の妖怪退治シリーズ。
大宮町三坂にも白坊主が現れ、魚売りの魚を奪ったという話もあります(正体は狐)。

火を吐く鳥

火を吐く鳥 (ひをはくとり)


保津川下浜の高橋(保津小橋)付近に“火を吐く鳥”が飛ぶという。
五月頃に最も多く、蛍狩りや魚採りに夢中になっていると、鳥のようなものが急に耳を掠めて鋭く一声鳴く。
するとその瞬間、顔から顎にかけて熱湯を振りかけられたような感じに打たれ、目は眩んで何も見えなくなり、しばらくの間意識を失ってしまうという。

『丹波の伝承』「火を吐く鳥」より

保津川と保津小橋
保津川(大堰川)と保津小橋の遠景。
真ん中に見える細い橋が保津小橋です。

保津川
保津小橋から見た保津川。
ちょうど保津川下りの舟が下っていくところでした。
昔は密漁者が多かったらしく、『保津百景道しるべ』では「火を吐く鳥は保津川での密漁行為を戒めるために生み出された妖怪ではないか」と考察しています。


伝承地:亀岡市保津町葛原・保津小橋付近


(2025/11/9 現地写真追加)

金の鳥

金の鳥 (きんのとり)


昔、猪野々の安養院には、金色の実をつける珍しい木が生えていた。
皆その木を大事にしていたが、いつからか金の実が一晩に一粒ずつなくなるようになった。
驚いた住職は、寺侍に毎晩交代で見張りをするように命じた。
だが、寺侍は夜更けになると睡魔に襲われて寝てしまい、目が覚めた時には金の実が一粒減っていた。
翌日、翌々日の見張りも同様に寝入ってしまい、朝には実が一粒なくなっている、ということが続いた。

ある夜、この日の当番の寺侍は眠気に耐えながら見張っていた。
そして真夜中になった頃、一陣の風と共に羽ばたきの音がして、空から金色に輝く鳥が降りてきた。
金色の鳥は木に留まり実を啄もうとしたので、寺侍は矢を射かけた。
矢は命中したが、鳥は手負いのままどこかへ飛んで行ってしまった。
鳥が飛び去った後、美しい金色の羽根が一枚、矢と共に落ちてきた。
翌日、寺侍は金色の羽根を住職たちに見せて事情を説明した。

後に、金色の鳥は龍ヶ城(福知山市一ノ宮の山頂にあった城)に棲んでいるということがわかった。
住職は毎晩のように見張りをつけて捕らえようとしたが、金色鳥が寺に飛んでくることは二度となかったという。
この金の実がなる不思議な木は、丹波が明智光秀軍に攻められた際、寺と共に焼けてしまったという。

『福知山の民話と昔ばなし集』「金色の実と金の鳥」より


これとは別に福知山市生野には、助けた水鳥が恩返しに金色の椎の実と葉をプレゼントする、というハートフルなお話があります。

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