丹波・丹後の妖怪あつめ

京都府北部(丹波・丹後地域)の怪異妖怪伝承を紹介するブログです。

2021年06月

笑い椿

笑い椿 (わらいつばき)


園部城には逃走用の抜け穴があり、そばに古い椿が一本生えていた。
昔、藩主の小出氏がここを通った時、その椿がヘラヘラと笑ったという。
その椿は人が通ると笑いかけると言われ、人々から気味悪がられていた。

『丹波の伝承』「園部城抜穴の椿」
『園部町の口碑、伝承 おじいさんたちの話』「ぬけ穴の話」より


伝承地:南丹市園部町小桜町・園部公園付近

小豆ざくざく

小豆ざくざく (あずきざくざく)


昔、高石垣という所に
「小豆ざくざく、豆、ざくざくや、ちりりん」
と言って、嫁さんの首が下がったという。

『おおみやの民話』「小豆ざくざく」より


小豆洗いシリーズ京丹後編その②。
誰の嫁の首……?

女房に化けた狸

女房に化けた狸 (にょうぼうにばけたたぬき)


宝暦元年(1751)、丹波国山家藩の村で、ある人の女房が桑の葉を摘みに出かけた。
だが女房はすぐに帰って来て、夫に「桑の木に狸が登っている」と伝えた。
夫は鉄砲を持って行き、木にいるものを狸と思い撃ち殺したが、それは女房だった。
「木に狸がいる」と報せてきたのは、女房に化けた狸だったのである。

『拾椎雑話 巻二十六』「他邦」より


これはひどい。

風鼬

風鼬 (かぜいたち)


宇治郡山科御陵村(現・京都市山科区御陵)の吉田庄吉という男が、同村の北詰端という所で畑仕事をし、午後四時過ぎに帰宅しようとした。
すると一陣の旋風が吹き、それと同時に庄吉は地面に倒れた。
一緒にいた男が駆け寄ると、庄吉は全身が真っ黒に焦げ、数ヶ所に傷を負った状態で死んでいた。
男は驚いて警察署に駆け込み事情を訴えた。巡査医員が庄吉の死体を検視すると、その傷は獣の鋭い爪に引っかかれたような痕だったという。
付近の者はこれを「“風鼬”のせいだ」と言っていたという。風鼬とは、他の所でいう“鎌鼬”の類いだろうか。


『明治期怪異妖怪記事資料集成』朝野新聞 明治十六年七月三日「鎌鼬」より


引っ掻き+丸焼きの合わせ技で命を奪っていく恐ろしい妖怪です。しかも無差別っぽい。
鎌鼬は日本各地に伝承されている有名な妖怪ですが、この風鼬のように「対象を丸焦げにして殺害する鎌鼬」という話は聞いたことがありませんね。
そういう意味ではかなり珍しいタイプの鎌鼬なのでは。
そもそも全く別種の妖怪という可能性も……。

大江山洞穴の怪異

大江山洞穴の怪異 (おおえやまどうけつのかいい)


福知山に住む坂口某という侍は、時々同年代の友人たちと集まって談話をしていた。
ある日の夜、友人から「大江山の洞穴は、夜に入れば怪しいことが起こるらしい」という話を聞いた坂口は「面白そうなので近々見に行って来よう」と言ったところ、皆に止められてしまった。
しかし坂口は諦めず、女房に「外へ出て来る」とだけ伝え、密かに大江山の洞穴へ向かった。
洞穴の入り口は狭かったが、十間(約1.8m)程進むと次第に広くなっていった。更に二町(約220m)余り進むと、石の灯台が間隔を空けて設えてあった。
洞穴内は薄暗く、天井からは雫が垂れ落ち、生臭い冷風が吹いてくる。我慢しながら四~五町(約440~540m)歩くと明るい場所に出たので、そこで休憩することにした。
すると、そばの石の上に沢瀉紋(おもだかもん)の蒔絵が浮き彫りされた挿し櫛が置いてあることに気づいた。
流石に寒気がしたので、その櫛を懐に入れ引き返すことにした。
戻り道には、来た時にはなかったはずの笄や香箱などが落ちていた。何故かこれらを見たことがあるような気がして、全て拾って行った。
あと少しで洞穴の入り口という所まで来た時、今斬られたばかりと見える女の生首が、道の真ん中に置かれていた。よく見ると、自分の女房の首だった。
坂口は驚き、生首を持って自宅の前まで戻った。外から家の中を覗くと、女房が普段と変わらず針仕事をしている。
改めて手に提げた首を見ると、それは大きな自然薯だった。
坂口は洞穴の話を女房に語り、拾った櫛などを見せた。それらは長持に入れてあった女房の私物だったという。

『新説百物語』「坂口氏大江山へ行きし事」より

鬼嶽稲荷神社の怪異

鬼嶽稲荷神社の怪異 (おにたけいなりじんじゃのかいい)


夜中に大江山の鬼嶽稲荷神社へ参詣していると、麓から団扇太鼓の音と人のざわめき声や足音が近づいて来る。
「こんな夜中に詣る人がいるのか」と思いお堂の中で様子を窺うと、大勢の者がワイワイとやって来た。
だが、人々は一瞬で消え、辺りは静まりかえってしまった。
そして、ザッと雨が降ってきたという。

『みやづの昔話 -北部編-』「狐狸にだまされる話-夜中のお参り」より


P6040035
大江山にある鬼嶽稲荷神社。
ここを夜中に参拝する胆力はありません。(怖い)

  • ライブドアブログ