生首の妖怪 / 老婆の怪物 (なまくびのようかい / ろうばのかいぶつ)
紙屋町の芸妓・お妻の家には、毎夜十二時頃から二時頃にかけて、血が滴った人間の首がふらふらと宙に浮かんで出ると噂されていた。
ある日の深夜二時頃、お妻が床に就くと、襖がびりびりと震え出した。
驚いて襖の方に目を向けると、人間の生首が現れて「エヘヘ」と笑った。
お妻は階下へ飛び降りて腰を抜かし、大声を上げたが、その時にはもう生首は消えていたという。
また、お妻の家の西隣に住む絵描きの家には、老婆の怪物が出ると言われている。
日中、絵描きが仕事をしていると、そこに老婆の怪物が現れてげらげらと笑ったという。
『明治期怪異妖怪記事資料集成』京都日出新聞 明治四十四年七月十八日「美妓お妻の家から生首の妖怪」より

