丹波・丹後の妖怪あつめ

京都府北部(丹波・丹後地域)の怪異妖怪伝承を紹介するブログです。

2022年02月

山のもん

山のもん (やまのもん)


伊根町には大正時代まで「ナヤ」などと呼ばれる産室を土間や家の外に作り、妊婦はそこで子供を産むという風習があった。
ある雪の日の夜、妊婦の籠もる産室に産婆がやって来た。
だが産婆の口元がおかしかったので、妊婦はこれは狸が化けたものだと見抜いた。
妊婦が焼けた火箸を目玉に突き刺すと、産婆は悲鳴を上げて逃げて行った。
翌朝、本物の産婆が雪の上に点々と血がついているのを目撃したという。
出産の時は“山のもん”が襲いに来ることがあるので、産室には刃物を置いておかなければならないという。

『語りによる日本の民話 10 丹後 伊根の民話』「お産と化け物」より


母は強し。


伝承地:伊根町峠


子守の幻影 / ガタロ

子守の幻影 / ガタロ (こもりのげんえい / - )


現在は大野ダムにより水没しているが、マンスケ山の絶壁を下った所には子守が落ちて死んだという深い淵があった。
ある子供がそこで川遊びをしていた時、絶壁の下の棚状になった岩の上に子守の幻影がはっきりと見えたという。
その後も雨の夜には、よく子守唄が聞こえたという。
また、この淵ではガタロ(河太郎)という河童が足を引っ張るとも言われている。

『ふるさとのことば -京都府美山町「岩江戸」の方言集-」より


伝承地:南丹市美山町三埜・由良川(正確な場所は不明)


落ち米の祟り

落ち米の祟り (おちごめのたたり)


米を洗ってとぎ汁を捨てる時、米粒を落としてはならないという。
「落とした場合はちゃんと拾え」と言われていたが、ある人は米を洗う度に少しずつ米粒を流しに落とし、そのままにしていた。
そしてある朝に流しを見ると、これまでに落とした米粒が白い大きな蛇に変わっていた。
祟りだと思い慌てて捨てようとしたが「これを煮れば白米になるだろう」と言い、その蛇を捕って煮た。
すると蛇は真っ白な米になったという。

『みやづの昔話 -北部編-』「落ち米のたたり」より


お米は大事。


伝承地:宮津市岩ヶ鼻


余部の三狐

余部の三狐 (あまるべのさんこ)


昔、余部の曽我谷川付近には「狐塚」という塚があり、狐の棲み処となっていた。
その頃、“ナンドの於夏”“走田の長吉”“射場の源太郎(孫太郎)”という三匹の狐が活躍しており、“余部の三狐”と呼ばれていた。
だが、その三狐も今はほとんど忘れられているという。

『口丹波口碑集』「狐の話」
『新編 桑下漫録』「餘部三稲荷」より


余部八幡宮
“ナンドの於夏”が棲んでいた余部八幡宮。現在は公園の片隅にあります。

長吉稲荷
“走田の長吉”が祀られている走田神社境内の長吉稲荷。残念ながら工事中でした。


“射場の源太郎(孫太郎)”が祀られている稲荷はグンゼ亀岡工場内にあるらしいです。


伝承地:亀岡市余部町狐塚(走田神社・余部八幡宮・グンゼ亀岡工場内?)


光る古株

光る古株 (ひかるふるかぶ)


昔、周枳のある屋敷の道を拡げることになり、大きな桑の古株を取り除いた。
するとその夜、桑の古株が光り出した。
株全体が青白く光り、そばへ行けば新聞の文字が読める程の明るさだった。
持ち帰って土間の隅の暗がりに置いておいたところ、二十日程経ってもまだ光り続けていた。
だが少しずつ光は弱まっていき、やがて光らなくなったという。

『おおみやの民話』「桑の古株が光った」より


伝承地:京丹後市大宮町周枳


市野々の土蜘蛛 / 大蜘蛛

市野々の土蜘蛛 / 大蜘蛛(いちのののつちぐも / おおぐも)


市野々の八幡神社境内に大きな洞穴があり、そこに土蜘蛛が棲んでいた。
土蜘蛛は毎日里へ出ては人々を苦しめていたため、薬師如来が退治に向かった。
薬師如来によって土蜘蛛は西へと追い立てられ、味間村を経て氷上郡の阿草(丹波市山南町)まで逃げたが、矢で足を一本射落とされて動けなくなった。
その後、薬師如来は播磨国へ向かったという。
現在も八幡神社境内には、土蜘蛛の棲み家だった洞穴が残されている。(『篠山町百年史』)

『山南町誌 第二巻』にも同じものと思われる伝承がありましたので続けて紹介します。

昔、市野々の八幡神社境内の洞穴に大きな蜘蛛がいた。
大蜘蛛は大勢の家来と共に毎夜田畑を荒らし回り、庄屋に年に一度村の娘を差し出せと言って村人たちを苦しめていた。
そこで薬師如来が村人を救うため、大蜘蛛を洞穴から誘い出して攻め立てた。
大蜘蛛は篠山川に沿って鞍が渕(丹波市山南町阿草)まで逃げたが、そこで矢を足に受けて動けなくなった。
大蜘蛛はこれまでの悪行を謝り、加古川(兵庫県南部)の方へ逃げて行ったという。

『篠山町百年史』「蜘蛛退治」
『山南町誌 第二巻』「大くも川と鞍が渕」より


土蜘蛛(大蜘蛛)が棲んでいた所は「大芋(おくも)」、近くを流れる篠山川は「大雲川(大蜘蛛川)」とも呼ばれています。


八幡神社洞穴
丹波篠山市市野々の八幡神社。
社殿のすぐ右にあるのが土蜘蛛が棲んでいたという洞穴。

鞍が渕
丹波市山南町阿草の篠山川(鞍が渕)。
逃げた土蜘蛛はこの辺りで足を射られたそうです。


伝承地:丹波篠山市市野々


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