丹波・丹後の妖怪あつめ

京都府北部(丹波・丹後地域)の怪異妖怪伝承を紹介するブログです。

2023年02月

里芋に似た光る物

里芋に似た光る物 (さといもににたひかるもの)


享保十年(1725)六月十三日の夜八時頃、光る物が飛んだ。
大きさは一尺(約30cm)余り、形は里芋の子に似て、日中のように明るく光っていた。
それは北から南東の方角に消え、その後に石火矢のような音が一つ鳴ったという。

『滝洞歴世誌』より


伝承地:舞鶴市南田辺付近


熊と恩知らずの男

熊と恩知らずの男 (くまとおんしらずのおとこ)


ある男が雪の日に三浜の山を越えようとしたが、吹雪に見舞われ立ち往生した。
そこに大きな熊が現れ、男を洞穴に連れ込むと「舐めろ」と言って手を差し出した。
舐めてみると熊の手は砂糖のように甘かった。そうして男は熊の手を舐めて空腹を凌いだ。
十日後、無事に村へ戻った男は熊に助けられたことを人々に話した。
すると話を聞いた猟師が「熊の居場所を教えてくれ。礼はする」と持ちかけてきた。
男は欲に目が眩み、恩を忘れて猟師を洞穴へ案内すると、中から件の熊が出てきた。
早速猟師は銃で撃とうとしたが、熊は両手を合わせ「待ってくれ」と頼んだ。
何をするのかと見ていると、熊は自分が助けた恩知らずの男を捕まえ、股から真っ二つに引き裂いた。
熊は男を惨殺した後「さぁ撃て」と言ったが、猟師は撃つことが出来なかったという。

『わが郷土 丸山小学校創立百周年記念誌』「熊と恩しらずの男の話 -小橋-」より


「命の恩熊を裏切った人間がその熊に復讐される」という話は静岡県にも伝えられています。

雪で道に迷った猟師が熊穴で三匹の熊に助けられる(すごく美味しい熊の手を舐めて飢えを凌ぐ)→友達の猟師に話すと「案内して」とせがまれる→案内して熊を三匹とも撃ち取る→助けられた方の猟師が「この熊が一番多く手を舐めさせてくれたんだよ」と言って親熊の手を持とうとする→その熊の死体が喉に噛みつき猟師は殺される。(静岡県浜松市)
……というものです。

ちなみにこの話が載る『静岡県伝説昔話集』は国立国会図書館のデジタルコレクションで閲覧することが出来ます。


伝承地:舞鶴市三浜


コワ谷の山猫

コワ谷の山猫 (こわだにのやまねこ)


半国山の麓に「コワ谷」という谷がある。
そこに20m程の巨岩があり、その下に沼地が広がっている。
岩の上には大きな松が立っていて、西風が吹くと木の守り主である山猫の鳴き声がするという。

『園部の口碑、伝承 おじいさんたちの話』「泣く山ねこ」より


伝承地:亀岡市東本梅町・半国山


黄金の橋 / 七色の桜

黄金の橋 / 七色の桜(おうごんのはし / なないろのさくら)


昔、冠島(雄島)と新井崎神社の間に黄金の橋が架かっていたという伝説がある。
そして冠島の老人島神社と新井崎神社には同じ種類の桜の古木があり、毎年七色に輝く花を咲かせていた。
だが村の子供がこの桜の花を手折ると腹痛を起こしたので、親たちが神社へ行き「七色の桜の花を咲かせないようにしてほしい」と頼んだ。
すると、翌年から普通の花が咲くようになったという。

『伊根町誌 下巻』「黄金の桜」より


ちなみに舞鶴市の冠島と伊根町の新井崎神社は直線距離で10kmくらい離れています。めちゃくちゃ長い橋ですね。


伝承地:伊根町新井・新井崎神社(舞鶴市野原・冠島)


菖蒲が池の大蛇

菖蒲が池の大蛇 (しょうぶがいけのだいじゃ)


ある時、雲門寺の普明国師は余部の村人から「村の途中に菖蒲が池という池があるが、夜になると大蛇が出てきて村人を脅かすので困っている」という話を聞いた。
国師はそれから毎日、菖蒲が池の畔で祈祷を続けたが、池はざわめくものの、遂に大蛇の姿を見ることは出来なかった。
数日後の朝、寺で読経する国師の元に黒髪の美女が現れ「私は菖蒲が池に棲む大蛇です」と言った。
「私の願いを聞いてもらおうと村人に話しかけましたが、皆逃げてしまい、時には私を殺そうとする人までいました。ですがここ数日の国師の祈祷によって昇天の化を得ることが出来ました。長らく池に棲まわせてもらったお礼に水珠を形見に置いていきます」
そう言うと美女は大蛇に姿を変え、海に入って雲を巻き起こし、天へ昇って行ったという。

『まいづるの道』「雲門寺の水珠」
『舞鶴の民話 第二集』「龍珠(中舞鶴)」より


大蛇からもらった水珠は雲門寺の寺宝になったと伝えられています。


伝承地:舞鶴市余部下(雲門寺は明治時代に余部下の菖蒲が丘から余部上に移転。菖蒲が池も余部下付近にあった?)


古坂峠の狐

古坂峠の狐 (ふるさかとうげのきつね)


ある夜、後川の村人二人が篠山の祭に行き、ご馳走の入った包みを担いで帰っていた。
古坂峠にさしかかると、対面から片方の村人の妻が歩いてきた。
妻は「帰りが遅いので迎えに来ました。そのご馳走は私が持ちましょう」と言って包みを取ろうとした。
だがその時、妻の目がギラッと光り、鼻がビクビクと動いた。
それを見た村人は「何かが化けている」と思い、小刀で胸を刺すと、妻は「キャン」と鳴いて姿を消した。
急いで家に戻ると、寝ていた妻が飛び起き「今、あなたに胸を刺されたと思ったら目が覚めた。夢で良かった」と言った。
翌朝、再び古坂峠に行くと、胸を刺された大きな狐が死んでいたという。

『郷土の民話(丹有編)』「峠の狐」より


化けられた妻が夢の中で化けた狐と同じ体験する、というのは面白いですね。
ちなみに舞台となった古坂峠はトンネル開通により、現在は廃道となっています。


伝承地:丹波篠山市後川中・古坂峠

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