市寺山の狐 (いちでらやまのきつね)*
昔、篠尾の老人が頼母子講に参加するため、幸世村(現・兵庫県丹波市氷上町)の親戚の家に向けて夜道を歩いていた。
だが市寺山(室山)の途中から、前や後ろをついてくるものがある。老人は狐だと思い警戒しながら歩いた。
やっと頂上に着き、煙草を吸って一服していると、いつの間にか目の前に狐が座っていた。
狐は「どこへ行きなさる」と尋ねてきたので、老人は「幸世村の親戚の家に行く」と答えた。
続けて「何しに」と聞くので「頼母子講を頼まれたので一口でもと思って」と答えた。
すると狐は「頼母子講か、それなら一口どころか半口でも嫌じゃ」と言って逃げて行ったという。
『福知山の民話と昔ばなし集』「頼母子講と狐」より
「頼母子講(たのもしこう)」とは民間の互助的金融組織のことで、生活困窮者や農具の購入資金のために講員が掛け金を出し合い、入札や抽選で決めた当選者に所定の金額をプレゼントする、というものです。
伝承地:福知山市市寺