丹波・丹後の妖怪あつめ

京都府北部(丹波・丹後地域)の怪異妖怪伝承を紹介するブログです。

2023年03月

光り石

光り石 (ひかりいし)


野々村庄栃原に“光り石”という三尺(約90cm)程の石がある。
この石は毎年彼岸の中日になると、午前十時~十二時頃まで稲妻のように光るという。
また、知らずにこの石に腰かけると熱病を患うとも言われている。

『丹波志桑田記 名石之部』「光リ石」より


福知山市の光る石の話はこちら。


伝承地:南丹市美山町高野


小野小町の小便

小野小町の小便 (おののこまちのしょうべん)


今安に「小野わき」という所がある。
昔、ここに霊湯が湧き出しており、小野小町が冷えで困った時に入浴に来ていたという。
その時に小町が小便をしたので、今でもこの辺りだけに、他では見られない花を咲かせる草が生えるという。

『民間伝承』24巻3号「伝説三つ」より


『福知山の民話と昔ばなし集』によると、小野小町が今安を訪れた時はかさぶただらけの醜い姿だったのですが、小野脇(小野わき)の温泉で養生する内に元の美しい姿に戻ることが出来たそうです。
また小野脇のあぜ道には野生のボケの花が咲きますが、ボケの花の咲く道は、昔小町が通ったところだと言われています
そして今安の東の正明寺には、小町が都から持って来た金の鳥の像を埋めた「鳥け(鳥埋け)」という場所があるそうです。
正明寺には他にも、小町が毎朝化粧用の水を汲んだと伝わる「化粧池」があり、昔は小町の美貌にあやかって若い女性が池の水を汲みに来ていたんだとか。(『ふるさとの話題 66集』)


小野小町神社
今安の小野脇地区の外れにある小野小町神社。
毎年四月十八日(小野小町が今安を去ったとされる日)には「小町まつり」という神事が行われます。

温泉跡
小野小町が入浴した温泉の跡。現在は池になっています。
一説には小町が顔を洗って身づくろいをした池だとも。(『ふるさとの話題 20集』)


伝承地:福知山市今安


ぼた餅狐

ぼた餅狐 (ぼたもちぎつね)


ある老人が久次で法事を済ませ、日が暮れるまでに急いで峰山まで戻ってきた。
すると突然辺りが真っ暗になり、行き先がわからなくなった。
老人はご馳走の入った重箱を腰にくくりつけ、近くの家までノタノタと這って進み、提灯を借りて家へ戻った。
だが狐に食べられたらしく、重箱の中は空になっていたという。

『丹後の民話 第四集 ふるさとのむかしばなし』「ぼたもちぎつね」より


この話、本文にはぼた餅が出て来ない(重箱の中身は「ご馳走」としか書かれていない)のに、タイトルは「ぼた餅狐」なんですよね。
省略されただけでぼた餅も重箱の中に入っていたんでしょうか。または「ご馳走」=「ぼた餅」だった?


伝承地:京丹後市峰山町丹波


薬師堂の小判

薬師堂の小判 (やくしどうのこばん)


昔、道芝に薬師堂があった。
この薬師堂には「長繩三把 繩三把 朝日輝く夕日は照らす 三葉空木の下にある」という歌があり、小判が埋められていると言われていた。
だが小判を掘り当てた人はおらず、こっそり掘った人もすぐに腰痛になって寝込んだり、腕が膨れて痛くなったという。
また夕方になると、薬師堂から微かに鐘の音が聞こえてくることがあり、多くの人がその音を聞いたという。

『舞鶴の民話 第二集』「薬師堂(道芝)」より


伝承地:舞鶴市余部上(薬師堂は現存していない?)


庚申の小判

庚申の小判 (こうしんのこばん)


ある山に祀られている庚申の祠に参拝し、お供えをすれば宝を授かるという話があった。
ある男がその話を聞き、庚申の日に重箱一杯のぼた餅を持って祠へ向かった。
そして「庚申さん、ぼた餅を持ってきたから食べてくれ」と言って重箱を祠に供えた。
すると庚申は大変喜び「お返しに重箱の中に小判を入れておいた。だが途中で中を見てはならん。帰ってから開けなさい」と言った。
男はほくほく顔で家に帰り、いざ重箱を開けると、中には大量の柴の葉が詰まっていたという。

『ふるさとのむかしむかし』「庚申さんから授かった小判」より


伝承地:京丹後市網野町浜詰?


人鬼

人鬼 (ひとおに)


丹波国の野々口に与次という八十歳過ぎの男が住んでいた。
彼の祖母は若い頃からわがままで恥知らずだったが、百六十歳を越えたあたりで尼になった。
与次には多くの子や孫がいたが、祖母は彼を孫として扱い、気に入らないことがあれば子供に教え諭すように叱ることもあった。
祖母は年老いても目や耳が良く、歯は九十歳の頃に全て抜け落ちたが、百歳になると再び生えてきたという。
この祖母は日中は家で麻を紡ぎ、夜はどこかへ出かけていた。
怪しんだ子や孫が後を追うと、祖母は振り返って大声で叱りつけ、杖を突きながら飛ぶように早く歩いて姿を眩ませた。
祖母の体は痩せこけて骨が浮き、目は白目が碧色に変色し、ほぼ食事を摂らないのに気性は若者でも敵わない程だった。
ある時、祖母は孫たちに「私の留守中は部屋の戸を開けるな。窓から部屋を覗くな。もしこれを破ったら恨む」と言って日中に出かけて行った。
だが祖母は夜になっても帰らなかったので、与次の末子が酒に酔った勢いで彼女の部屋を覗いた。
すると中には犬の頭、鶏の羽根、赤子の手首、人の頭蓋骨や手足の骨が竹垣に幾つも積み重ねられていた。
驚いた末子は与次に告げ、皆でどうするか相談しているところへ祖母が帰ってきた。
祖母は部屋の戸が開いているのを見て激怒し、両目を丸く見開いて輝かせ、声を震わせながらどこかへ走り去った。
その後、ある木樵が大江山(福知山市大江町)でこの祖母に出会ったが、その時の彼女は白地の帷子の両端を帯に挟み、杖を突きながら飛ぶような速さで山を登っていた。
そして木樵は祖母が猪を捕まえて押さえつけたのを見て、恐ろしくなって逃げ帰ったという。
祖母は生きながら鬼になったのだという。

『伽婢子』巻九の四「人鬼」より


亀岡市にも鬼になった性悪男の話があります。こちらは鬼のコスプレですが。


伝承地:南丹市園部町(野々口の正確な位置は不明。現在の園部町中心部?)


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