逃げた本尊 (にげたほんぞん)*
昔、大内に金持ちの家があった。
この家の主人はケチで、仏壇にお供えをせず、お経も読まず、寺へは一度も参らず、近所付き合いもしないという人物だった。
ある日、主人は所用で京都へ出かけ、その帰り道に海老坂峠の辺りまで来た時、一人の坊主に出会った。
その坊主は「長い間お世話になりましたが、帰らせてもらいます」と言い、去って行った。
主人は「どこかで見たことのある坊主だな」と不思議に思いながら家に帰ると、室内に草鞋の足跡がついていた。
足跡は奥の間の仏壇まで続いており、中を見ると本尊がなくなっていた。
主人は「海老坂峠で出会った坊主は家の本尊さんだったのか」と驚き、これまでの行いを深く反省したという。
『ふるさと美山の生活誌』「本尊さんが逃げた」より
毘沙門天像のお引っ越し
伝承地:南丹市美山町内久保



