子育て幽霊 (こそだてゆうれい)
ある夏の深夜、氷上町石生のトラック運転手が但馬の柴(兵庫県朝来市)の外れで若い女を乗せた。
ところが丹波の青垣町へ抜ける遠坂トンネルに入ると、いつもより冷気を感じ、前方に燐火が飛んで行くのが見えた。
トンネルを抜け、遠坂集落の灯りが見える所で女を降ろすと冷気はなくなった。
その後、女は秋の初めまで強い夕立があった日の深夜に限って現れ、運転手は但馬から丹波まで乗せて行った。
この女は遠坂に嫁いでいたが、子を身籠ったまま離縁され、柴で男児を産んで死んだ。
男児は丹波の女の実家に引き取られたため、夜な夜な但馬の墓から我が子の元へ乳を飲ませに通っていたのだという。
『現代民話考[3] 偽汽車・船・自動車の笑いと怪談』「子育て幽霊」より
運転手は女が幽霊だと気づいていたんでしょうか。
気づいていながら乗せていたんだとしたら……運転手の度胸と優しさは天井知らずですね。
タクシーを利用するお姫様
伝承地:丹波市青垣町遠坂-朝来市柴
