西光寺山の金の鶏
(さいこうじさんのきんのにわとり)
(さいこうじさんのきんのにわとり)
昔、西光寺山の頂上にある上人が住んでいた。
上人は里へ下りて来ては村人たちに作物の育て方を教え、病人には治療を施し、人々を集めてありがたい話をしていた。
上人は山中の粗末な庵に住んでいたが、そこに一際目立つ立派な木箱が置いてあり、毎朝その箱に向かって祈りを捧げていた。
村人たちが不思議に思って尋ねると、上人は「箱の中には村が危機に陥った時に救ってくれるものが入っている。そうならないように毎日祈っているが、きっと悪い心を起こす者が出るので決して箱の中を見てはならない」と言った。
ところがある日、上人が留守の間に村の若者が木箱を開けて中を見てしまった。
中には金無垢の鶏がまばゆい光を放っており、たちまち村人の間で「上人様の庵には金の鶏がいる」と評判になった。
ある時、金の鶏の話を聞いた旅人が悪心を起こし、夜中に庵に忍び込んで箱に手をかけた。
すると突然、昼を欺くような稲光と共に大きな雷鳴が轟き、旅人は谷間に転げ落ちていった。
その数日後、上人は村人たちに「私の言いつけに背いた者があり、悲しいことが起こってしまった。私は今日から修行の旅に出るが、金の鶏は山中に残しておく。皆が力を合わせて働いていれば、きっと役に立つ時が来るだろう」と言って旅立った。
その後、西光寺山に立派な寺が建立され、金の鶏の伝説から「金鶏山西光寺」と名づけられた。
以来、正月の夜になると、西光寺山のどこかで金の鶏が四方に金色の光を放つと言い伝えられているが、それを見た者はいない。
『広報こんだ』129号「マイタウン今田⑦〈民話〉西光寺山の金の鶏」より
西光寺山は丹波篠山市の西端、加東市と西脇市との境にある標高約712mの山です。
金鶏山西光寺は西光寺山の南の洞ヶ岳(法蝶ヶ岳)という山の山腹にあった寺院で、今も石垣や屋敷の跡が残っているそうです。
ちなみに、西光寺山の登山道は金の鶏の伝説にちなんで「金鶏伝説のみち」という名前がついています。(『今田町文化財調査報告 第4集』)
伝承地:丹波篠山市今田町本荘・西光寺山







