算盤坊主 / 算盤小僧 (そろばんぼうず / そろばんこぞう)


船井郡西別院笑路にある西光寺のそばに、一本のカヤの木が生えている。
夜更けにこの木の下を通ると、小坊主のような男が現れて盛んに算盤を弾き出すという。
これは“算盤坊主”という妖怪で、昔、西光寺の小坊主が計算ミスをしたことで和尚に罵られ、それを苦にしてこの木で首を吊って死んだ。
その霊が成仏することなく、夜な夜な現れては算盤を弾いているのだという。
狸の仕業ではないかとも言われている。

また、西光寺の隣にある素戔嗚(すさのお)神社の大木の下に、毎晩一時頃になると少年が現れて算盤の稽古を始めるという話もある。
これは西光寺の開山・万安英種和尚が幼少の頃、深夜に人知れず勉学に励んでいた時の姿が現れているのだと言われ、こちらは“算盤小僧”と呼ばれていた。

一方、水木しげる氏による算盤坊主(算盤小僧)の解説はずいぶん違っている。
人気のない寂しい道を歩いていると、大木の陰からパチパチと算盤を弾くような音が聞こえる。
不思議に思って木の後ろに回ると音は消える。そしてまた向こうの方からパチパチと音がする。これは算盤坊主の仕業である。
算盤坊主は算盤を弾く音を出して人々を驚かす妖怪で、人前には姿を現さないのだという。
算盤坊主はとても計算が速く、その正体は一種の霊なのだという。

『口丹波口碑集』「算盤坊主」
『丹波の伝承』「算盤小僧」
『ふるさと口丹波風土記』「そろばん小坊主」
『決定版 日本妖怪大全』「算盤坊主」
『水木しげるロードの妖怪たち Ⅵ』より


西光寺
算盤坊主が出たという西光寺。
カヤの木は何十年も前に伐られたらしく、現存していません。

素戔嗚神社
西光寺のすぐ隣にある素戔嗚神社。
算盤小僧が現れたという大木はどれだかわからず。

算盤坊主
鳥取県境港・水木しげるロードの算盤坊主のブロンズ像。
世間的にはこれが一番有名かも。

伝承地:亀岡市西別院町笑路・西光寺、素戔嗚神社