たにがばば


昔、丹後町の間人の石切場に深い谷があり、そこに鬼婆が住んでいた。
日中は普通の老婆だが、夜になると次第に口が大きく裂け、鋭い目をした恐ろしい鬼婆へと変貌する。
そして旅人を騙しては家に呼び込み、食べてしまうという。
彼女を恐れた村人たちは誰もその辺りを通らなくなってしまった。

ある時、その話を聞いた侍が、たにがばばを退治するために谷へ向かった。
侍は大きな石を持ち上げると、たにがばばの頭上から、彼女目がけて投げ落とした。
たにがばばは石の下敷きになり、そのまま死んでしまったという。
今でも谷の上から「鬼婆よー」と大声で呼ぶと、「おーい」という恨めしそうな声が返ってくるという。

『丹後町の民話』「たにがばば(間人)」より