片目の怪物 (かためのかいぶつ)*
福知山市大江町と舞鶴市桑飼上の境、狭迫峠には「大刀洗い」と呼ばれる小さな池があった。
昔、この辺りには人の目玉をくり抜く片目の怪物が出ると言われていた。
ある秋の夕暮れ、一人の武士が峠を登りこの池の近くまでやって来た。
その時、茂みから大きな片目の怪物が現れた。その口は耳まで裂け、残った一つ目は爛々と輝いている。
怪物は武士に襲いかかるが、反撃され刀胴を斬りつけられた。
怪物は鋭い悲鳴とともに二、三間(約3~5m)山際に飛び退くと、そのまま姿を眩ませた。
残された武士は、血に染まった刀を近くの池で洗い清めた後、立ち去ったという。
翌朝、この池の畔で、胴体を斬られた大きな片目の狸の死体が発見された。
この狸は猟師に片目を奪われた怨みから、怪物となって人を襲い、目玉をくり抜いていたのだという。
また、この怪物を斬った武士は、剣豪・岩見重太郎だったとも伝えられている。
『郷土史岡田上』「太刀洗い」より
岩見重太郎の妖怪退治シリーズ。
仇討ちを遂げた舞台(天橋立)から近いためか、舞鶴や宮津には岩見重太郎の妖怪退治エピソードがいくつか伝えられています。