一本松の大男 (いっぽんまつのおおおとこ)


ある夫婦が親戚の家に行き、夜遅くになってから帰路についた。
寂しい夜道を歩き続け、二人は「八百比丘尼が挿した」という伝承がある一本松の近くまで来た。
その一本松に、裸の大男が腕を組んでもたれかかっていた。
一本松にはよく大男が出て、通行人を見つけると「相撲とろかい、相撲とろかい」と勝負を持ちかけてくるという。
大男を見て驚いた二人は、見つからないようにそっと道の裾へ下り、這うようにして一本松を通り過ぎた。
やっと村まで辿り着くと、二人は「大きかったなぁ」と息を弾ませてへたり込んだという。

『中筋のむかしと今 下』「一本松の大男」より