金の鳥 (きんのとり)
昔、猪野々の安養院には、金色の実をつける珍しい木が生えていた。
皆その木を大事にしていたが、いつからか金の実が一晩に一粒ずつなくなるようになった。
驚いた住職は、寺侍に毎晩交代で見張りをするように命じた。
だが、寺侍は夜更けになると睡魔に襲われて寝てしまい、目が覚めた時には金の実が一粒減っていた。
翌日、翌々日の見張りも同様に寝入ってしまい、朝には実が一粒なくなっている、ということが続いた。
ある夜、この日の当番の寺侍は眠気に耐えながら見張っていた。
そして真夜中になった頃、一陣の風と共に羽ばたきの音がして、空から金色に輝く鳥が降りてきた。
金色の鳥は木に留まり実を啄もうとしたので、寺侍は矢を射かけた。
矢は命中したが、鳥は手負いのままどこかへ飛んで行ってしまった。
鳥が飛び去った後、美しい金色の羽根が一枚、矢と共に落ちてきた。
翌日、寺侍は金色の羽根を住職たちに見せて事情を説明した。
後に、金色の鳥は龍ヶ城(福知山市一ノ宮の山頂にあった城)に棲んでいるということがわかった。
住職は毎晩のように見張りをつけて捕らえようとしたが、金色鳥が寺に飛んでくることは二度となかったという。
この金の実がなる不思議な木は、丹波が明智光秀軍に攻められた際、寺と共に焼けてしまったという。
『福知山の民話と昔ばなし集』「金色の実と金の鳥」より
これとは別に福知山市生野には、助けた水鳥が恩返しに金色の椎の実と葉をプレゼントする、というハートフルなお話があります。