バンドウのバンエモン
本庄宇治に住む老人が、仕事を終えて帰路に着いていた。
すると、背中に覆い被さるものがいる。どうやら狸が負ぶさってきたらしい。
老人は「このまま家まで連れて帰ってやる」と言い、狸の手を捕まえて逃がさないようにした。
そのままイバラ谷という所まで来ると、背中の狸が「イバラ谷のイバエモン、助けてくれー」と叫んだ。
そして「もう悪さをしないから許してほしい。お詫びに明日、石菖(せきしょう)を持って行く」と許しを請うた。
解放された狸は翌朝、約束通り老人の家へ石菖の葉を届けたという。
この狸は“バンドウのバンエモン”と呼ばれ、それ以来老人とその家族に悪さをしなくなったという。
この家では、石菖の葉を持っていれば、絶対に狸に化かされないと伝えられている。
『京都府伊根町の民話 -泉とく子・藤原国蔵の語り-』「狸に化かされない家」より
“イバラ谷のイバエモン”の存在が気になります。
バンエモンの狸仲間でしょうか。
*2021/9/14 追記
『丹後 伊根の民話』によると、伊根町本庄には二匹のボス的狸がいたそうです。
一匹は「バンド」という所の“バンドの伴右衛門(ばんえもん)“で、もう一匹は「井原谷」にいる“井原谷の井原右衛門(いばえもん)”。
おそらくこれが本記事に出て来る“バンドウのバンエモン”と“イバラ谷のイバエモン”なのでしょう。
ちなみにイバエモンはバンエモンと違い、人に捕まっても悔い改めることなく上手いこと逃げ果せます。
バンエモンより一枚上手のようですね。