平茸になった法師 (ひらたけになったほうし)


丹波国篠村では、秋になると夥しい量の平茸が生えるので、村人たちはこの茸を食べたり人に贈ったりして過ごしていた。
ある時、村の長老の夢に二、三十人ほどの髪の伸びた法師たちが現れ「長い間この村に奉公してきたが、他の場所へ移ることになったのでお別れを言いに来た」と告げた。
奇妙なことに、長老だけでなく、多くの村人が同じような夢を見たということだった。
やがて秋になり、村人たちは例年通り平茸を採りに山へ入ったが、全く見当たらない。
村人たちが不思議に思っていると、仲胤という僧侶が村を訪れた。
話を聞いた仲胤は「自らの名声のために説法をするような邪な法師は、平茸に生まれ変わることがある」と説明したという。
だから、どうであろうと平茸などは食べるべきではない、ということである。

『宇治拾遺物語』「丹波国篠村、平茸生ふる事」より


不良法師、まさかの平茸転生。
毎年山程生えていた平茸は法師たちの転生した姿だったということですね。
知らなかったとはいえ、村人たちはその平茸(元法師たち)を食べたりプレゼントしたりしていたのか……。
この不良法師たちはどこか別の場所に移ったとのことですが、新天地でもまた平茸として元気に育ち食べられる運命なのでしょうか。
それとも許されて菌類から人類に戻れたのでしょうか。


伝承地:亀岡市篠町篠