大蛸の足 (おおだこのあし)
倭寇が中国沿岸で猛威を振るっていた頃、丹後の磯の集落に藤兵衛という剛胆な海士がいた。
ある春の夜、藤兵衛は船で沖合を進んでいたが、突然、波もないのに船が傾いた。
急いで確認すると、海中から得体の知れない異様の太いものが伸び、船の胴に巻き付いていた。
藤兵衛は無言で刀を抜き、船に巻き付いた怪しいものを斬りつけた。
それは直径三尺(約90cm)もある大蛸の足だったという。
『丹後の伝説 ふるさとのはなし』「大蛸の足」より
丹後の海に巨大な蛸が現れたという話は他にもあり、丹後町(または伊根町)には衣を広げて舟ごと人を包み込む“衣蛸”という妖怪が出ると言われています。(『海村生活の研究』)
『難波噺』には、足の長さ約2.7m、太さ約50cmもある大蛸が現れたという話が載っていますが、漁師たちはその足を一本ずつ切り落とし、最終的に頭だけになった大蛸を捕まえて食べたそうです。たくましい。
また福井県敦賀市には、貝を取るために海に潜った男が周囲五尺(約1.5m)もある柱のような大蛸の足に捕らえられ、水中をくるくる回っていたという話もあります。(『南越民俗』)
伝承地:京丹後市網野町磯