伊右ヱ門焼け (いえもんやけ)
昔、ある村に伊右ヱ門という炭焼き職人がいた。彼は山中にある炭焼き窯で仕事をしていた。
夜になれば帰って来るはずなのだが、その日、彼は戻って来なかった。
心配した村人たちは方々を捜し回り、やがて彼を発見した。
伊右ヱ門は、山中の炭焼き窯の炎の中にいた。
燃え盛る炭窯の焚き口からは伊右ヱ門の足が飛び出し、灰になった草履がまとわりついていた。
伊右ヱ門の怪死については、こう語り伝えられている。
「伊右ヱ門は天狗のねぐらだった大木を伐り倒してしまい、怒り狂った天狗に窯の中へ投げ込まれて焼き殺されたのだ」
今も広谷山の中腹には「伊右ヱ門焼け」という地名が残されているという。
『郷土史岡田上』「伊右ヱ門焼け」より
この怪死事件は本当に天狗の仕業だったんでしょうか?