高見の亡魂 (たかみのぼうこん)
天正七年(1579)、赤井氏の居城・高見城は明智光秀の火攻めを受け落城した。
城の兵士たちは炎に悶え苦しみ「水をくれ」と叫びながら死んでいったという。
やがて時代は下り、高見城の戦が人々の記憶から薄れていった頃、鴨野の谷川に見たこともないトンボの大群が飛ぶようになった。
透き通るような青味を帯びた胴体に柳の葉に似た羽根をつけ、微かな風にも吹き飛ばされる程弱々しい姿のトンボだった。その数は何十万匹にもなったという。
この群れを見た村人たちは、高見城の兵士がトンボに生まれ変わり、水を求めてやって来たのだと考えた。
そしていつしか、このトンボを“高見の亡魂”と呼ぶようになった。
村の子供たちはこのトンボを見かける度「高見の亡魂、水やるで、消えろ、消えろ」と言いながら、水をかけて追い散らすようになった。
だが現在は一匹も姿を見ることがなくなったという。
『柏原の民話とうた』「糸とんぼ」より
死者たちが虫に転生して戻って来る、という話は福知山市にも伝えられています。
→大雲橋のカゲロウ
伝承地:丹波市柏原町鴨野