歯抜け大坊主 (はぬけおおぼうず)


ある山の近くの家で起こった話である。
その家には夜泣き癖のある子供がいて、夜な夜な母親を困らせていた。
ある時、母親が「今晩は外で寝なさい」と言ってむずがる子供を暗闇の中へ放り出した。
とはいえ心配なので、母親は子供の様子を雨戸の隙間から覗き見ていた。
すると、どこからともなく身長3mもある歯の抜けた大坊主が現れ、「こっちへ来い、こっちへ来い」と子供を誘い出した。
それを見た母親は悲鳴を上げた。その声を聞きつけ、家中の者がその場へ集まって来た。
「大きな坊さんが……」と、母親が指さすのと同時に、大坊主は消えてしまったという。

『舞鶴の民話 第二集』「年老いたタヌキ(下福井)」より


前回紹介した“動く生首”と“歯抜け大坊主”は、山に棲む年老いた狸が化けたものだと考えられていたようです。