六十年目に現れる蛇 (ろくじゅうねんめにあらわれるへび)


明治中期、栃原の津向(つこ)と呼ばれる水路のそばにツツジの大株があり、そこに一匹の蛇が棲んでいた。
その蛇は首に金色の紋をつけ、体には紫色の模様があり何とも言えない色をしていたという。
この蛇が見られてから四年後の明治二十九年(1896)、栃原は洪水に見舞われた。田畑は荒れ、多くの人や家が流されたという。
それから五十四年後の昭和二十五年(1950)、同じ場所で例の蛇が目撃された。
「六十年目に洪水が起こるという凶兆かもしれない」と言われ、その言葉どおり、昭和二十八年(1953)に再び洪水が栃原を襲った。
それ以来、その蛇の姿を見ることはないが、また六十年後に姿を現すのではないかと気味悪がられている。

『栃原の昔語り』「六十年目に姿を現す一匹の蛇」より


(だいたい)六十年に一度のペースで現れるという不思議な蛇のお話。

あとあんまり関係ないかもですが、江戸時代の紀行文『笈埃随筆』には、京都のある村の庄屋に美女に化けた大蛇がやって来て「ヤベーことが起こるから今日中にさっさと立ち退け」と警告するが誰も信じず、その夜に発生した大洪水に巻き込まれてしまう、という話があります。
まぁいきなりそんなこと言われても信じられませんよね……。