負うてくれえ地蔵 (おうてくれえじぞう)
昔、千原から有路へ行く途中、野上へ下りた所に堤があった。
そのそばにある地蔵は、夜になると通行人に「負うて(背負って)くれやあ、負うてくれやあ」と頼むので、“負うてくれえ地蔵”という名前で呼ばれていた。
ある日、男が有路へ行き、そこで酒を振る舞われてもてなされたため、帰るのが遅くなってしまった。
件の地蔵の所まで来た頃には、日も暮れて辺りは暗闇になっていた。
地蔵の前で休憩していた男は、酔った勢いに任せ「地蔵さん、今夜は私が背負ってあげるから、背負われてみろ」と地蔵に話しかけた。
だが、いくら待っても地蔵は何も言わず、動かなかったという。
それ以来、男は地蔵の話をする度に「あの地蔵は『負うてくれえ』と言うらしいけど、あれは嘘だ」と言っていたという。
『大江のむかしばなし』「負うてくれえ地蔵の話」より
相手から提案されるのは嫌なんでしょうか。