蟻になった蛇 (ありになったへび)


明治中頃のこと、南桑田郡穴太村(現・亀岡市曽我部町)の金剛寺にある釣り鐘の頂点に燕が巣を作り、そこで雛を育てていた。
だが一匹の縞蛇が雛を狙い、下から巣を見上げていた。
それを憎らしく思った青年が蛇を叩き殺し、死骸を三十間(約54m)程先の竹藪に投げ捨てた。
数日後、どこからか何十万もの蟻が湧き出し、鐘楼の柱を伝って天井へ上り、そこから釣り鐘に降りて燕の巣の雛に群がった。
襲われた雛は巣から落ちて瀕死になってしまった。
人々が蟻の出所を辿ると、竹藪に捨てられた縞蛇の腐乱死体が蟻に変化しているのを見つけた。
人々は蛇の執念に驚いたという。

『霊怪眞話』「燕の巣に附いた一念」より


伝承地:亀岡市曽我部町・金剛寺