九匹の鬼 (きゅうひきのおに)


昔、源頼光一行が大江山に棲む酒呑童子を退治した時、生き残った手下の鬼たちは散り散りになって各地に逃げたという。
その内、九匹の鬼が小橋の村まで逃げ込んできた。
大きな体に恐ろしい顔の彼らを見て、村人たちは「奴らを生かしておけば皆喰い殺されてしまうかもしれない」と考え、相談の末、鬼たちを殺すことに決めた。
村人たちは九匹の鬼を酒宴でもてなし、酔い潰れて眠ったところを見計い、武器を手に襲いかかった。
鬼たちは次々と殺されていき、最後の一匹は浜まで逃げたものの、追いかけてきた村人に槍で突かれてしまった。
血塗れになった鬼は村人たちを睨みつけると、両手と両膝を砂浜についたまま動かなくなった。
村人たちは哀れに思い、九匹の鬼を慰めるため浜に墓を建てたという。
以来、この浜は「九鬼が浜」と呼ばれ、村人たちの墓も作られるようになった。
また、ここには「鬼のツボ」という穴があるという。

『舞鶴の民話 第一集』「鬼のツボ」より


騙し討ちされて親分を失った挙げ句、逃亡先でもまた騙されて全滅とは……。