白い幕 / 火を焚く六部 (しろいまく / ひをたくろくぶ)*
昔、延利の老婆が夜明け前に水戸谷を歩いていると、道一杯に白い幕が張られていた。
そこで持っていた杖で払うと幕は破れ、道が見えるようになった。
老婆は再び歩き出したが、しばらく行くとまた道一杯に白い幕が張られていたので、もう一度杖で払うと同じように幕は破れた。
だが少し歩くと、また道を塞ぐように白い幕が張られていた。
老婆は狸の仕業だと考え、「私は人に狸と呼ばれている婆だ。お前なんか怖くないぞ」と怒鳴りつけた。
すると白い幕は消え、代わりに大きな灯りを灯した汽車(あるいは自動車)のようなものが老婆の方へ突っ込んで来た。
老婆は慌てて道の端に避けようとしたが、勢い余って転んでしまった。
起き上がった時には謎の車は消え、老婆の荷物は全てなくなっていたという。
また、この老婆が三重から車力(荷車で荷物を運搬する職業)の荷車に乗って帰っていた時の話である。
三重と森本の間にさしかかった時、五、六人の六部が車座になって大きな火を焚いているのを見かけた。
通り過ぎた後、ふと振り返ると、焚き火も六部たちの姿もなくなっていたという。
『丹後の民話 第一集 いかがのはなし』「たぬきがたぬきに化かされた」より
白い幕は狸、六部は狐の仕業ではないかと考えられたようです。
伝承地:与謝野町上山田、京丹後市大宮町三重
伝承地:与謝野町上山田、京丹後市大宮町三重