蛇キノコ (へびきのこ)*
ある時、丹波国亀山犬飼野の者が山で大量のキノコを見つけた。
採って帰ると家の主人は「とても見事なものだ」と褒め、京都の成瀬某へプレゼントした。
成瀬某は早速料理して客人に振る舞おうと考えた。
すると丹波国からキノコを贈った者の使いが来て「例のキノコはもう食べたか」と尋ねた。
「これから食べようと調理している最中だ」と答えると、使いは「それならば早く捨ててくれ」と言った。
使いが言うには、そのキノコを採った者が再び採集場所に行ったところ、元のように生えていた。
不思議に思ってキノコを見ると、頭上からポタポタと泡立った露が落ちて来た。
見上げれば、松の梢に大蛇がおり、口から露を滴らせている。
その露が落ちたところから、たちまちキノコが生えてきたという。
これを聞いた主人は「キノコを食べれば毒にあたるだろう」と思い、急いで忠告しに来たのだという。
『虚実雑談集 巻之一』「菌に毒ある事」より
伝承地:亀岡市曽我部町犬飼
伝承地:亀岡市曽我部町犬飼