人喰い岩 (ひとくいいわ)


久美浜の兜山には「人喰い岩」という赤土混じりの岩がある。
昔、兜山に恐ろしい鬼婆が棲んでおり、毎日里へ出ては手当たり次第に人を喰っていた。
鬼婆の所業を知った熊野神社の神は怒り、赤土を口に詰め込んで山中に埋めてしまった。
この鬼婆が後に人喰い岩になったのだと伝えられている。

『久美浜町の昔話』にも人喰い岩にまつわる伝承がありましたので、併せて紹介します。

昔、兜山に入った木樵たちは、山を荒らされると思った「人喰い岩」によって喰われ、誰一人帰って来なかった。
ある時、腕自慢の若者が人喰い岩に術比べを挑んだところ、打ち解けて仲良くなった。
すると、人喰い岩は口を滑らせ「赤土が嫌いだ」と、若者に苦手なものを教えてしまった。
若者から話を聞いた村人たちが人喰い岩に赤土を塗ると、それ以来人を喰わなくなったという。

『熊野郡伝説史』「人食岩(神野村)」
『久美浜町の昔話 ふるさとのむかしばなし』「兜山とひとくい岩(ババ岩)」より


『熊野郡伝説史』では人を喰う鬼婆が神様によって埋められて岩になりますが、『久美浜町の昔話』では人を喰う岩が弱点を知られたことで無力化される、というそれぞれ異なる伝承になっています。
ちなみに本文で出て来る熊野神社は、兜山の山頂に鎮座しています。


人食い岩
久美浜町兜山中腹にある人喰い岩。


伝承地:京丹後市久美浜町甲山