五色ヶ浜の赤子 (ごしきがはまのあかご)*
昔、五色ヶ浜(五色浜)に男の赤子を抱いた若い女の死体が漂着した。
赤子は生きていたが、村の女たちが乳をやろうとしても飲まず、ただ泣き喚くだけだった。
そこである村人が浜の小石を与えてみると、赤子はたちまち笑顔になった。
「五色ヶ浜の小石は全部あげるから、もう泣くんじゃないよ」
そう言うと、赤子は言葉を理解しているかのように笑った。
しかし、赤子はその後も飲食を拒み続け、泣き出せば浜の小石を与えてあやす、という日々が続いた。
やがて赤子は衰弱して死亡し、母親と共に葬られた。
ところがそれ以来、村人が五色ヶ浜の小石を持ち帰ると、激しい腹痛に襲われるようになった。だが小石を浜に戻すとすぐに治まる。
そのため、五色ヶ浜の小石を持ち帰る時は「子供や、お前の石を貰って行くよ」と断れば、腹痛は起こらないと言われている。
『丹後の民話 第三集 ふるさとのむかしばなし』「五色が浜と小児」
『季刊 民話』第1号 1975年〈冬〉「奥丹後物語 草稿」
『舞鶴の民話 第四集』「ふしぎな小石(網野町)」より
伝承地:京丹後市網野町塩江・五色浜