向田のしずく松 (むこうだのしずくまつ)


昔、志賀郷の向田に松の古木があった。
この松は毎年一月六日の午前十時になると、梢から雨のように雫を降らせたという。
村人たちはこの時の雫の多寡によって旱魃や水害を占い、耕作の指南をしたという。
だが天正年間、明智光秀が福知山城の建材にするため、この松を伐ろうとした。
ところが何度伐り倒しても、夜になると伐った木材が寄り集まり、朝には元の松に再生して伐ることが出来なかった。
怒った光秀は松を一片ずつ伐っては燃やしていき、最終的に幹だけを残して全て焼き捨ててしまったという。

『何鹿の伝承』「向田のしづく松」より


志賀郷町周辺には木や花にまつわる七つの伝承があり、「志賀の七不思議」として現在も語り継がれています。
簡単ですが以下にご紹介。

藤波神社の藤→一月一日に藤の花が咲く。後に白鷺になって飛び去る。
②阿須須伎神社の茗荷→一月三日に茗荷が三本生え揃う。
③篠田神社の筍→一月四日に筍が三本生える。
④若宮神社の萩→一月五日に萩の花が咲く。
⑤諏訪神社の柿→一月六日に柿が三つ成る。後に飛び去る。
⑥向田のしずく松→本記事。
⑦向田のゆるぎ松→一月七日に上方の葉が揺れると都に吉事、下方の葉が揺れると凶事がある。



伝承地:綾部市向田町



*2022/12/30 一部修正