白鷺になった藤 (しらさぎになったふじ)*
藤波神社では、毎年正月一日に藤の花が咲いていた。
かつて神社では正月に咲いた藤の花を箱に入れ、宮廷に献上するという行事があった。
正安元年(1299)のこと、例年通り飛脚に藤の花が入った箱を持たせ上京させた。
だが途中の船井郡園部水戸の峠(観音峠)で、飛脚は箱を開けてしまった。
すると藤の花はたちまち一羽の白鷺に変化し、峠の麓へ飛び去った。
これにより藤の花を献上することが出来なくなったので、後伏見天皇は激怒し、位を後二条天皇に譲ったという。
以来この行事は廃れ、正月に藤の花が咲くこともなくなったという。
『何鹿の伝承』「藤波大明神の藤の花」より
この話は綾部市志賀郷に伝わる「志賀七不思議」の一つで、『京都の民話』『京都 丹波・丹後の伝説』『京都の伝説 丹波を歩く』『あやべ昔話抄』など、様々な本に掲載されている伝承です。
ちなみに『何鹿の伝承』以外は、宮廷に花を届ける役は飛脚ではなく、丹後から来た若者になっています。
また『あやべ昔話抄』では、若者は京から志賀郷に戻った時、途中で花が白鷺になったことは伏せて「藤の花はちゃんと宮廷に届けたヨ」と嘘をつき村を去りますが、そのまま行方不明になった……という不穏なオチが追加されています。
伝承地:綾部市西方町・藤波神社
2022/12/29 本文修正