山坊甚五郎 (やまんぼのじんごろう)
保津町には毎月十日は「味噌汁を飲まない」という風習がある。
牛松山に鎮座する金比羅神社の祭神・大物主命(おおものぬしのみこと)は継母に育てられたが、食事は味噌汁だけしか与えられず、ひもじい思いをしていた。
その頃、保津村に“山坊甚五郎”という悪戯好きの雄狐が棲んでいたが、甚五郎は大物主命を哀れみ、密かに食事を分け与えて育てることにした。
甚五郎は自分と大物主命の分の食事を調達するため、村人に化けて旅人を騙し、食料をせしめていたという。
その後、成長した大物主命は保津の守り神(金比羅神)となり、村人から厚く信仰されるようになった。
そして保津の村人たちは、味噌汁しか与えられなかった金比羅神に遠慮すると共に、神を育てた山坊甚五郎への感謝の意を込め、月命日にあたる十日は味噌汁を飲まないという。
『丹波の伝承』「狐、二題」
『保津百景道しるべ』「No.28 味噌汁の恩返し 金比羅に感謝」より
伝承地:亀岡市保津町山ノ坊