まどころの古狸 (まどころのふるだぬき)*
保津には「まどころ」と呼ばれる道がある。
「魔物が住む怖い所」と解釈されているが、本来は役所があったことから「政所(まんどころ)」の地名がつけられ、それが訛って「まどころ」と呼ばれるようになったのだという。
「まどころ」は道幅の狭い急な坂道で、両側に竹が茂っているため昼でも薄暗い場所だった。
昔、ここに八畳敷の金玉を持つ古狸が棲んでいた。
夜にこの道を通ると、古狸が八畳敷の金玉を投網のように操り、通行人に被せるという。
通行人は突然目の前が暗くなったことで行き先を見失い、手探りで歩く内に道を外れて藪の中をさまよっていたという。
そのため、夜に通る者はいなくなり、「まどころ」は「魔物の住む怖い所」になったという。
『保津百景道しるべ』「No.58 この辺りに、政所」より

