山のもん (やまのもん)


伊根町には大正時代まで「ナヤ」などと呼ばれる産室を土間や家の外に作り、妊婦はそこで子供を産むという風習があった。
ある雪の日の夜、妊婦の籠もる産室に産婆がやって来た。
だが産婆の口元がおかしかったので、妊婦はこれは狸が化けたものだと見抜いた。
妊婦が焼けた火箸を目玉に突き刺すと、産婆は悲鳴を上げて逃げて行った。
翌朝、本物の産婆が雪の上に点々と血がついているのを目撃したという。
出産の時は“山のもん”が襲いに来ることがあるので、産室には刃物を置いておかなければならないという。

『語りによる日本の民話 10 丹後 伊根の民話』「お産と化け物」より


母は強し。


伝承地:伊根町峠