大きな鶏 (おおきなにわとり)*
昔、瀬崎で鯛が不漁になり、村人たちの生活が立ち行かなくなった。
そこで村人たちは飼っている鶏を殺し、その肉を餌にして釣りをしてみた。
するとまた鯛が釣れるようになったので、それからは鶏肉を餌にして釣りをするようになった。
ある日、まだ深夜にも関わらず、家々の鶏たちが一斉に鳴き出した。
時計がなかった時代なので、村人たちは毎朝鶏の鳴き声を合図に漁へ出ていた。
この日も村人たちは朝が来たと思い、鯛釣りに出かけたが、魚は一匹も釣れなかった。
そうしている内に海が荒れ始め、舟は沖へと流されて行った。
すると舟の前に、羽を広げた大きな鶏が現れた。大鶏の胸は開かれ、赤い肉が覗いていた。
そして村人たちは荒れ狂う海の中へ、舟ごと引き込まれて行った。
その時、村の鶏たちが「おもいしったかーこけこっこー」と一斉に鳴いたという。
これは鶏を殺して餌にした罰が当たったのだと言われ、以来、村では鶏肉で魚を釣ることを禁じたという。
『舞鶴の民話 第三集』「赤だいつり(瀬崎)」より
伝承地:舞鶴市瀬崎