火の形をした小猫 (ひのかたちをしたこねこ)


享保十九年(1734)六月六日、夜半頃から風雨になり、その雲の中に小猫のようなものがいた。
小猫は火のような形をしており、凄まじい声を上げて北東の方へ飛んで行った。
この夜は風雨が家々を打つ音だけでなく、小猫が家屋にぶつかる音も激しく聞こえたという。
この影響で七日の祇園祭は山鉾を包んで巡行し、賀茂川も洪水になったので神輿を三条へ迂回させたという。
あるいは火の玉が飛んでいたとも言われ、あちこちで目撃者がいた。
四条河原の茶屋では、小屋を片づけていた二人が死亡したという。


『月堂見聞集 巻之二十九』より


伝承地:京都市各所