女に化けた狐 (おんなにばけたきつね)


昔、平の若宮神社に美男の堂守りが住んでいた。
ある年の正月十四日の夕方、黒髪の美少女が神社を訪れて一泊の宿を求めた。
堂守りは女のあまりの美しさに驚いたが、雪の夜に放り出すわけにもいかず、彼女を泊めることにした。
その夜、堂守りが女に食事を振舞ったところ、不思議なことに御櫃の中の米は少しも減らなかった。
そして夜が更け、床に就こうとしたが寝具は一組しかないため、二人は同じ布団で眠ることになった。
堂守りが布団の端で身を固くしていると、女の柔らかな黒髪が顔を撫でた。
するとたちまち、堂守りの体は暖かくなっていった。
堂守りが初めて味わう暖かさに感動していると、女の暖かい息が首筋に流れた。
その心地よさに、堂守りはいつの間にか深い眠りに落ちていた。
翌朝、堂守りが目覚めた時には既に女の姿はなく、彼女の温もりだけが残されていた。
布団の上には狐の毛が落ちており、土の足跡が裏山の奥へと続いていた。
堂守りは狐に化かされたことに気づき、村人に昨夜の出来事を話した。
話を聞いた村人たちは「人を化かす狐や化け物は退治しなければならない」と言って狐狩りを始めたという。
以来、正月十四日の夕方になると、村中の男子が武装して若宮神社の方へ進み、
「明日は地蔵堂のまつりとて キツネ狩り ウォーッ ウォーッ キツネ泣きゃ テン泣く 泣くキツネ とりおさえろ」
という声を上げながら村を一周するようになったという。

『舞鶴の民話 第二集』「きつねがり(平)」より


伝承地:舞鶴市平・平八幡神社?