岸ノ下叉左ヱ門 (きしのしたまたざえもん)
昔、小枕村で春日神社の別当寺を建て直したが、その時に出た大量の古い材木の処分に困っていた。
すると泉村から“岸ノ下叉左ヱ門”という者が訪れ、火事で焼けてしまった村の寺を再建するため、小枕村の古材木を売ってほしいと申し出た。
小枕村も処分に困っていたので話はすぐにまとまり、叉左ヱ門はその場で代金の銀二百匁を支払って帰って行った。
ところがそれから一ヶ月が過ぎても、泉村から材木を引き取りに来る気配はなかった。
そこで泉村へ使いを送って確認したところ、村人たちは材木など買っていないと言った。
だが既に代価を払っているということで、不思議に思いつつも、泉村の村人たちは小枕村から材木を運び出し、寺の建材とした。
後に泉村の古老は「昔から泉の宮山には尾の先が白い狐が棲んでいる。人に悪戯をする狐ではないので放っているが、多分これの仕業に違いない」と語ったという。
『多紀郷土史考・下巻』「旧雲部村(現城東村の内)」より
この他、泉村の北山の谷に棲む狐が、難産に苦しむ嫁狐を助けてくれた医師に金一封(ただし跡形もなく消える)と、重箱一杯のぼた餅(村人から盗んだもの)をお礼にプレゼントしたという話も伝えられています。
伝承地:丹波篠山市泉・小枕