大入道に化けた地蔵 (おおにゅうどうにばけたじぞう)


杉谷と荒山の間に「一番谷」という峠道がある。
ある夜、矢谷小右ェ門という男が杉谷からの帰り道にこの峠を通っていた。
しばらく進むと、道の中央に身長一丈(約3m)もある一ツ目の真白な大入道が立ちはだかっていた。
小右ェ門は「また狐が悪戯しているな。退け」と言って通り抜けようとしたが、大入道は後ずさりながら左右に動いて通さなかった。
仕方なく大入道を押しのけるようにして、やっとのことで横をすり抜けると、道の先に巨大な狼がうずくまっているのが見えた。
驚いた小右ェ門は無我夢中で杉谷へ逃げ戻った。
翌朝、再び大入道が立っていた所へ戻ってみると、山手側に地蔵があった。
昨夜の大入道はこの地蔵が化けたもので、狼から助けるために自分の注意を惹いてくれていたのだと確信した。
小右ェ門は地蔵に深く感謝し、立派な石槨を寄進したという。

『丹後の伝説 ふるさとのはなし』「一ツ目の大入道になって人助けをしたお地蔵さん」より


伝承地:京丹後市峰山町杉谷~荒山間・一番谷峠